観音経意訳絵本・第二巻「ななかんのん」

六道(りくどう)と「七観音」の関係。

 そもそも「七観音」とは、「六観音」でした。
それは、この巻のテーマでもある「六道輪廻」と言う教えから発祥しているからです。
それがなぜ、お一人増えたのか?
 六道輪廻とは、「人は、死ぬと、どこへいくのか?」という切実な不安に答えた教えでした。
そして、その先にも観音様がいて、私たちを救ってくださるということで「六観音」が生まれたようです。
 でも、ここで問題が…。
六道のうち「人道」を救う観音様が、真言宗では、「准胝観音様」。天台宗では、「不空羂索観音様」だったのです。
 しかし、庶民は、たくましかった。「どちらも、ありがたい観音様だ。
とくに人の世は、大変。観音様も二人くらい必要だ」と言わんばかりに、「七観音」として広めてしまったのです。
 結局、この判断は正しく、「観音経」を読み解く上で、
最も重要である「七難」を救うには、「七観音」が必要だったのです。
 お経は、ルールブックではない。大事なのは、人間。
昔の人は、そういう宗教の本質的なものをしっかり持っていたのではないでしょうか。

 
あとがき 

 観音経を意訳し、全文を載せた第一巻。ある意味、この絵本は、そこで完成していたのですが、
意訳の途中、割愛した文や、様々な観音様のお話が手元にたくさん残っていました。
そこで、これらの話を紹介するため、続編と言う形で、改めて再構築してみました。
その結果、全二十巻という大作になることに…。
 ということで、本作は、第一巻と続編とのブリッジにあたるため、
様々なキーストーンを埋め込んだ、とても重要な作品であります。
そのため、構成には、とても悩みました。それに映画や、小説でも、第二弾は、評価が厳しくなるものです。
そういうダブルのプレッシャーの中から生まれたのですが、結果的には、とても満足しております。
 テーマは「死を考えることで、生を考える」ことでした。それは、再生であり、旅立ちです。
そして、今回から出てきた「蓮の妖精」のような存在が、
以後の作品に、とても重要なキャラクターとして登場することとなるでしょう。
 これからの作品も、是非、楽しみにして下さいますよう、よろしくお願いいたします

神仏絵師・昌克
2016年4月
 
 
 

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