六道(りくどう)と「七観音」の関係。
そもそも「七観音」とは、「六観音」でした。
それは、この巻のテーマでもある「六道輪廻」と言う教えから発祥しているからです。
それがなぜ、お一人増えたのか?
六道輪廻とは、「人は、死ぬと、どこへいくのか?」という切実な不安に答えた教えでした。
そして、その先にも観音様がいて、私たちを救ってくださるということで「六観音」が生まれたようです。
でも、ここで問題が…。
六道のうち「人道」を救う観音様が、真言宗では、「准胝観音様」。天台宗では、「不空羂索観音様」だったのです。
しかし、庶民は、たくましかった。「どちらも、ありがたい観音様だ。
とくに人の世は、大変。観音様も二人くらい必要だ」と言わんばかりに、「七観音」として広めてしまったのです。
結局、この判断は正しく、「観音経」を読み解く上で、
最も重要である「七難」を救うには、「七観音」が必要だったのです。
お経は、ルールブックではない。大事なのは、人間。
昔の人は、そういう宗教の本質的なものをしっかり持っていたのではないでしょうか。 |