あとがき
実は、誰よりも自分が驚いているのですが、この四巻と前の三巻は、ほぼひと月で一冊の完成ということになります。
予定では、観音経意訳絵本全ニ十巻を二千二拾年の完成を目指していましたが、驚異的なハイペースでございます。
さてさて、この第四巻では、おそらく観音様の中でも一番有名であろう千手観音様の登場です。
実は、私が描いた最初の観音様でもあり、このシリーズ以前に作った絵本も、この千手観音様でした。
そういう意味では、私の制作人生において、とても重要な時に現れてくださった観音様と言えます。
千手観音様は、水難と餓鬼道を救ってくださいます。
【欲に溺れる】と書く如く、水難とは、限りない欲望を戒める難であります。そして一番、根が深い欲望とは…。
実は、この作品を執筆中に、ウルグアイの元大統領、ホセ・ムヒカ氏が来日されました。
氏の言葉である「貧乏な人とは、少ししか物を持っていない人ではなく、無限の欲があり、
いくらあっても満足しない人のことだ」とは、まさに観音様の教えとも合致します。これは決して、偶然とは言えない。
神仏絵師・昌克
2016年7月